シンポジウムおよびまちづくり研究会では、私たちのまち(とくに中心市街地)の現況や、これまでのまちづくりの取り組みの問題点について、多くの指摘がなされました。


 モータリゼーションの進展、都市の拡大、さらに大型店舗の郊外への立地等々によって、地方都市の中心市街地の衰退がめまぐるしく起こっています。手をこまねいていれば、地方都市は「都市」としての機能を果たさなくなるかもしれません。
 衰退した中心市街地を再生させるためには、郊外の開発を抑制し、膨大な投資が中心市街地になされる必要があります。地方都市の中心市街地活性化の必要性は、次の通りです。



(1)シンボルとしての中心市街地

都市の中心部は、象徴的中心、精神的拠り所としての意味を持っています。市民誰もが共有、共感できるシンボルとしての中心市街地が存在することが重要です。
(2)社会資本ストックの維持、有効活用
中心市街地は、一般に、交通施設、上下水道などの基盤施設に加え、福利厚生施設、商業業務施設など広い意味での社会資本ストックが整備されています。それらの維持、有効活用のためにも、中心市街地が重要です。
(3)コミュニティ、歴史文化などの意味
都市の中心部には、その都市固有の歴史文化とそれを支えてきたコミュニティが存在します。中心市街地の衰退は、コミュニティの崩壊と文化の喪失を招きます。
(4)高齢化社会への対応
高齢化社会となる21世紀のまちづくりは、徒歩圏内に福利厚生施設、商業施設、医療施設などが集積していることが望ましいと思われます。
(5)環境に負荷をかけない都市づくり
郊外へ開発し続けていくまちづくりではなく、コンパクトな都市をめざし、環境に負荷をかけないまちづくりをしていくためには、中心市街地の再生が鍵となります。